ユレテミヨウカ

大好きな音楽、ライブ、編み物の記録をぼそぼそつづります

最前列が同じメンツでそれがどうした

なんて書くと、私がバンドを追っかけているイタイ人たち(の一部)を擁護しているかとも思われるんでしょうが、はっきり言ってどっちでもいい。
もっと言うなれば、このバンドのこともどっちでもいい。

わたしはバンドとお客の間には「距離感」が必要で、その「距離感」はとても大切なものだと思っています。
だから音楽が好きな一人の人間として、この発言にもこのバンドの一部のファンにも違和感を感じた。
なので、その前提でこの記事を読んでいただければ幸いです。

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今、国民的バンドのフロントマンのこんな発言で世間がちょっぴりざわついています。

もちろん彼が言っていることには一理ある。

遠慮もへったくれもなく向けられるスマホのレンズには閉口するだろう。
彼に対して、「プロ意識がない」ってコメントしてる方を見かけたけれど、それはなんてナンセンスな発言なんだろうと思う。
SCOOBIE DOのコヤマシュウは
「人間じゃないぜ バンドマン」
って歌ってるけど、そんなことはない。
バンドマンだって生活する上では人間の端くれです。
ご飯だって食べるし、うんこだってする。
移動しなくちゃライブだってできない。
ライブ後の打ち上げだってお店に行かなきゃできない。
打ち上げで飲みすぎて酔いつぶれることだってあるでしょう。
事実私は、酔っぱらって道で寝てしまうバンドマンだって知ってるし、地方で酔っぱらって裸で川に飛び込んで、地元の消防団に助けられた某ライブハウスのオーナーだって知っている。
外界をまったく遮断して生きていくことなんて誰にもできないんだから、常にリラックスして生きることができないなんてきっとつらいだろうなぁって思うし、いつでもどこでもスマホのカメラレンズを向けられることはそれはきっとつらいと思います。
ただし、それは「売れっ子であることの代償」でもあるわけです。

売れることを人間臭く求め、売れるために人間らしくファンを大事にしていた彼らは、売れることによってまるでパンダのような、珍獣のような人外の存在に昇華してしまうのではないかとも思うわけです。

 

ただし、だからと言ってどこへでも追いかけて行っていいというわけではない。
彼らは「そういう存在になっちゃった」だけであって、人間としての感情を失ってしまっているわけではないんだから。

 

売れ方のスケールが全然違う話を出して恐縮なのですが、先日、こういうことがありました。
某DJイベントに行ったんですが、そこで酔っぱらった勢いで酔っぱらったバンドマンをおもちゃにして遊んでいるイタイ人たちを見かけました。
わたしは下戸なのでお酒は全く飲めませんが、仮に酔っぱらっていたとしても、相手が気心の知れたお友達であってもそんなことよーせんわ、っていうようなことを平気でやっている人たちを見かけました。

個人的にはそんな礼儀も距離感もわきまえないファンはカスだと思っています。
お酒の勢いを借りて失礼なことをしでかして
「わたしここまでやっても笑って許されちゃうの」
なんて勘違いをしているファンはカスを通り越してスカスカです。
そんな人たちは、いつか塩対応されたら離れて行っちゃうんだろうなぁとも思っています。

 

前置きが長くなりましたが、わたしが今回引っかかったのは、上記のような常識的なことがらに対してではなく、
「最前列はいつも同じ景色」
この発言に対してです。

彼が言っているこんなことは、どのバンドやアーティストでも同じこと。
それを問題点だと思っているアーティストがあることも当然だし、反対にそういったお客さんに支えられているバンドが多いのも確か。
もっというなれば、売れていなければいないほどそうである確率が高い。

そして、彼ら彼女らがある一定の礼儀と距離感を守ってさえいれば、「最前列にいつもある同じ顔」はバンドにとって最上級の得意客なのです。
なんたって分母が圧倒的に少ないんですから。
地方に行けばいくほどその分母はさらに小ささを増すわけで、そうなると彼ら彼女らは、わざわざ地方のライブハウスまで来てバンドにお金を落とし、物販でもお金を落とす「上得意客」なんです。

 

「君が今日ここに来るまでに必要だったTIME&MONEY&SOULに感謝します」
これもコヤマがライブで毎回いう言葉。
そう、みんな時間もお金もそれに何より、このライブを観たいっていうハートで動いてる。
そういう熱いハートを持つ人はきっと少しでも早い番号のチケットを手に入れて、少しでも前でそのバンドを観たいんだと思います。
そして、わたしが観に行っているようなバンドであれば、たいてい早い番号のチケットを物販で売ってるから、前の方にいるファンがある程度固定化されるのも仕方ないのかも知れない。

ただ、今、そのことをいやだと不快だとおっしゃっているのは、そんなレベルの低い売れ方をしているアーティストではない。
もはや国民的といわれている超売れっ子バンドのフロントマンだ。

 

件の発言に対して冷静に突っ込ませていただくとすればまずは、
「最前列はいつも同じ景色」

ここ。
個人的にはこの表現はちょっと大げさではないか、と思いました。
小さなライブハウスならまだしも、大きな会場の中で、前の方であればあるほどみんな同じバンドTシャツ来て、タオルを巻いたり同じようなラババンつけたりしてるわけです。
そりゃあ同じに見えますよ。
それとも、いつも最前列にいる人たちを特定しての発言なんでしょうか。
だとすれば狩猟民族なみの視力をお持ちだということです。

 

せっかくの海外公演だったのに、現地のお客さんより常連の日本人ファンの方が目立ってしまった。

この事実を憂える気持ちも、残念だともう気持ちもわかります。
普段なかなか生で観てもらえる機会の少ない人たちに、少しでも近くで観てほしかったんだろうとも思います。

 

だけど、その事実を伝えるには圧倒的に言葉が足りない。
事実、わたしはこの投稿が海外公演での話であるということを最初は理解していませんでした。
あんな抽象的な表現ではなく、自分が伝えたいことをきちんと整理して熟考して、必要であればオフィシャルに発言すべきだったのではないでしょうか。

 

SNSだからいいんじゃないかって思ってるのかもしれないけれど、ライトにヘビーなことを言いすぎなんです。
ちょっといわせてね、そんな雰囲気で吐ける言葉ではないはず。
あった事柄を整理して、だから自分はこう思ってる、ファンのみんなにこうであって欲しいと思っている、そこまできちんとした文章で書かないと、内容のヘビーさに発言がついていかない。
本人はフォローしたつもりであろうコメントだって、ライトすぎるよ。
もう、あなたの発言をすごくヘビーに受け止めてる人たちがたくさんたくさんこの世にはいるんだから。
バンドマンとしてのあなたもファンとの距離感を見誤ってるところがあるんじゃない?
今回の発言を受けて私がだらだらと思ったのはこんなことなんです。

 

バンドマンだって人間、ファンだって人間。
たくさん集まればそれだけいろんな人が増えます。
大事なのは、距離感。
そこを両者が上手く量らないと関係はいつか破綻する。
もっとビジネスライクにいこうっていう心の幅だって大事なんです。
お金を払ってライブに行っている時点で、友達ではなくあくまで客なんだから。
(わたしは友達のバンドのライブでもお金払いますけどね)