カッコウの卵は誰のもの
個人的に、登場人物を細やかに描く東野圭吾が好きなのです。
反対に、サイエンスティックな東野圭吾がちょっと苦手。
冒頭に遺伝子がうんぬん的な話が出てきたので、ちょっと苦手な方かな、なんて思いながら読み始めました。
夢半ばにして引退したアルペンスキーヤーと、彼の夢を託された娘。
父の後を追うようにアルペンスキーの道を進み、めきめきと頭角を現す彼女の出生には、実は大きな秘密が隠されています。
その秘密を巡って、さまざまな人物が登場します。
そして、秘密があるゆえの悲しい事件が起こってしまいます。
断片と断片をこまやかにつなぎ合わせていく手法と、点が線につながった時の感覚には素晴らしいものがあったと思います。
ただ、ミステリとして考えた時には、犯人の設定に少し無理があるような気がしないでもなく。
それから、知らなくてもいい秘密もあったっていいのかもしれない、また、秘密を抱えて生きることを選択する決意の強と、いわゆる血縁の力と、それをも超える絆を感じることができる作品でした。
2015年3冊目。
20150120読了。
★★★★☆